伝 言 板









昔は何処の駅にも伝言板がありました


恋人達が待ち合わせの連絡に使ったり

時には
好きな人へのメッセージを書いたりしていました


でも
悪い奴がいて

時々、その伝言板を消してしまうのです


そんな時はさぁ、大変!

恋人達の運命や如何に!?



もっとも

無事に待ち合わせをしていたって
どちらかに急用が出来たり
何かで遅れたりすると
まるでメロドラマのような
「すれ違い」「行き違い」が待っていたのですから
それはもう
付き合っていたってスリル満点です


そう言えば
待ち合わせの店に電話を入れて
「呼び出し」なんてのもありましたっけ




同じように
家庭でも「書き置き」と言うシステムがありました


今でも
「鍵っ子」なんて言葉があるのか分りませんが

共働きの家の子供が家に帰ると
まずテーブルの上を見ます

そこには
学校から帰った子供に
おやつの在処を報せるメモが置いてありました

単なる連絡事項と言えばそれまでですが
お母さんの子供に対する愛情がそこにはありました




今みたいに携帯電話なんて無かった頃の話です


一人暮らしの若者は
部屋に電話さえ無い人がほとんどでした


ですから
彼女の家に電話をする時は
相手のお父さんが電話を取らないか
それはもう冷や冷やものでした

時には
相手のお母さんに
間違えてラブコールなんて話もあったとか無かったとか!?




貧乏だった学生時代

公衆電話に
10円玉をたくさん握り締めて行っては
実家に電話をかけました

東京から北海道に電話をかけると
夜間でも100円、200円なんてアッと言う間でした


母親に臨時(?)仕送りの無心をしたくて
無い小銭をかき集めて
時には友達に電話代を借りて実家に電話をかけました

そんな時に限って
無愛想な親父が電話を取ります

『親父だ・・・どうしよう・・・』

口ごもる私

その間にも
10円玉は無情にもドンドン落ちていきます

「あのぉ・・・
 ちょっとお母さんに変わって欲しいんだけど」

「なんだ? 何か用か?」

”用”があるから電話をしてるんです!

まぁ、もちろん
親父もそれは十分承知をしていたのでしょうが


時には
虎の子の10円玉1枚で実家に電話をかけました

「金!」

ツー、ツー、ツー・・・

たった一言で電話は切れました


今みたいに
「オレオレ詐欺」なんて無かった時代の話です


考えてみれば
ある意味
平和な時代だったのかも知れませんね




公衆電話と言えば

『公衆電話の箱の中、ひざを抱えて泣きました』

なんて歌がありました


雨の降る夜、公衆電話ボックス、別れ・・・


当時の若者なら
誰もが一度くらいは
そんな切ない経験があったでしょう


そんな情景が
リアルに浮かんできて泣ける歌でした


でも、今の人にはピンと来ないかも知れませんね




駅の伝言板

家の書き置き

公衆電話



今みたいに
携帯電話や携帯メールですぐに連絡が取れる時代だと
必要の無いモノかも知れませんが

そこには確かに
人同士の「ふれあい」があったような気がします

そう思えば
待ち合わせの「すれ違い」「行き違い」でさえも
なんだか懐かしく思えます



何事も便利な時代になった現在ですが
便利になって
逆に失くしたモノも多いのかも知れません



古き良き時代・・・

ただ
そんな言葉で片付けてしまいたくは無いですね



おっと
これは単なるセンチメンタルかな・・・?







































inserted by FC2 system