現代夫婦百景　〜愛と情〜

彼女は２度目の離婚をして３年になる
結婚生活は２年半だった

今、彼女は母親と２人の娘
そして
前夫が残していった犬と猫と一緒に暮らしている

犬も猫も
元々は前夫が飼っていて
結婚をした時に連れて来たのだが
離婚をした時に置いて行った


彼女はどちらかと言うと
真面目で融通のあまり利かないタイプ

だが、とにかく良く気が付き
それ以上に世話好きなのだが
世話をした分
相手に感謝をされないと
落ち込んでしまう

一緒に住むには
男にとっては少々、やっかいな性格

それ故か
１度目も２度目も結婚生活は３年と続かなかった


前夫は１２０ｋｍ離れた街で商売をしている
今でも、合間をみては時々会いに来ている

そして、事有る毎に復縁を申し込んでいる

してみると
彼が犬と猫を置いて家を出たのも
或いは、”縁”を残しておきたかったからなのか

少なくとも
”口実”にはなっているようだ

だが
彼女は一切復縁をするつもりは無い
他の誰とも再婚はもうしないと心に決めている

そして、彼女は
前夫が復縁を申し出る度にこう言っている

「私はあなたとはもう
　ヨリを戻すつもりはないの。
　誰とも再婚もしない。
　でも、もし・・・
　あなたが年老いて動けなくなった時に１人だったら
　その時は私が面倒を看てあげる」

愛情・・・
愛が無くなっても
情だけは残っていると言う事だろうか

それなら
復縁をしたとしても
それなりに上手くやっていけるのでは？

少なくとも
お互いに傷付いて
だけど、その分大人になったはず

ならば、一緒に暮らしたとしても
前とは違った２人になれるのでは？

そう思うのは傍目の余計なお節介か・・・


男と女の事は他人には判らない
実に不思議は男と女

これも、或る種の夫婦の形なのだろうか