はいしゃ・・・





今朝は起きた時から
何だか嫌な予感はしていたんです


起きるのがやたら億劫で・・・

金曜日なのだから
普通は

「良し! 今日1日頑張ったら明日は休みだ〜♪」

って、テンションも上がるはずなのに

今朝に限って
気分が重たくて
目覚ましが鳴った後も
しばらくボーッと布団に座り込んでいました

『やっぱ、夜更かしの連チャンはきついな』

それは夜更かしのせいだと思っていたのです・・・




朝ごはんを食べていた時
ガチッと何かを噛んだんです

『石? まさかね』

口から恐る恐る”ソレ”を取り出してみると
金属片でした

『なんだこれ?』

そうです
以前、治療をして
歯に被せていたモノが外れたのです


でも
食べていたのは
お餅でもなくガムでもなく
ごくごく普通のご飯です

なのに何故?


『えー!? 歯医者に行かないとダメ?』




歯医者・・・

なんと嫌な響きでしょう!


考えただけで憂鬱になります・・・orz



無理に大口を開けさせられて

『こんな顔は他人には見せられないべさ』

って顔を要求されます



「はい、口を大きく開けてくださいね」

美人の歯科衛生士さんが
私にとびっきりの笑顔を向けます

(実際にはマスクをしているので
 どれだけ美人なのかは・・・?)

「はい、イスを倒しますよ。
 今、先生が来ますからね」



悪魔の微笑み?

「ここ、痛いですか?」

ニコニコ顔の歯医者は
そう言いながら私の奥歯を金属棒で叩くのです

「いや・・だ、大丈夫です」

例え
激痛が全身を走ろうと
私には”他の言葉”の選択肢は無いのです

何故なら
イスに寝転がされた私の主導権は
完全に掌握されているのですから



《ウィィーン・・》

ドリルの回る音がヤケに心拍数を増大させます

やがて
そのドリルは私の歯に押し当てられるのです


歯の焦げた臭いが鼻につきます



「大丈夫ですか?」

大丈夫な訳がありません

だけど
それを言えば許してくれるのですか?

私をここから解放してくれると言うのですか?



第一
口を開けっ放しにさせられて
左からは歯科衛生士さんに
口の端を抑えられつつ
器具を口に挿入されて吸引をされています

右からは歯医者が
ドリルを今まさに私の歯に当てようとしています


この状況下で
私に何を喋れると言うのしょう?

呻くしか出来ないではありませんか!



もし
拷問を受けるとしたら
あなたは外科医と歯医者のどちらを選びますか?

究極の選択です



歯医者と絶叫マシーンくらいでしょうね

金を払って拷問をわざわざ受けるようなものです

何を好き好んで・・・



とにもかくにも
この日は仮の詰め物をして終了しました



生きているのが不思議なくらいです


こんな状況下で
拷問に耐えられるのは
私と
「24」のジャック・バウワーくらいなものでしょうね


生きている実感
そして
喜びが私を包みます



帰り際に愛想の良い受付嬢が

「次は来週の水曜日においで下さい。お大事に」

と事務的な笑顔で送ってくれます


「お大事に?」

せめて事務的にでは無くて

「お大事に」の後に
”ハートマーク”くらい付けてくれないかな?

そしたら私も
「ありがとう」の後に”♪”くらい付けてあげるのに



次は来週の水曜日かぁ〜

今から気が重いな・・・


憂鬱と絶望


つい数分前に
生きている喜びを感じていた私ですが
また
現実に突き落とされました


私は
まるで人生の不幸を
全て独りで背負った敗者のように
地面にうずくまるのです・・・orz



”はいしゃ”

どんな漢字に変換しても嫌な言葉です



いつになったら解放されるのだろう


歯科医院を出た後で見上げた空には
何処までも続く灰色の雲が・・・































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