マラソンマン










人生はゴールを決めないマラソンだ

そうは言うけど
現実的には
その都度いくつものゴールはある訳で
そのゴールを通過点に変えながら
より先のゴールを目指していく



切羽詰まった時ほど
普段は気にならない事が気になったりして
急いでやる必要のない事ばかり
しかものらりくらりと
「あーでもない、こーでもない」
などと現実逃避を試みる

ここで手を抜けば
後がだんだん苦しくなっていく事だって
本当は判りすぎるくらい判っているのに



マグロは
泳ぐのを止めてしまうと死んでしまうんだとか

幸か不幸か
人間は走らなくたって歩くのを止めたって死ぬ事はない

「そうさ、少しくらい休んだって
 別にどうって事はないじゃないか」

心に灯った弱音が悪魔に言葉を借りて言う

そう、どうって事はない

ただ、その結果の責任は自分が取る事になる



誰が人生をマラソンに例えたのだろう?

人生がリレーならどんなに楽だろう?

でも、自分の人生ではタスキを渡す相手などいない
どんなに辛くても独りで走り続けなければならない

いや、帆走をしてくれる人がいるなら
苦楽を共にしてくれる相手がいたなら
背中を押してくれる誰かがいたなら
より先のゴールを目指す勇気をもらえるだろう

それでも自分で走りきらなければならない
と、いう事に変わりはないのだけど

変わりはないし代わりもいない

でも、一緒に走ってくれる相手は探す事が出来る



自分は何の為に生きているんだろう?

幾度となく頭を過ぎる疑問の答えは結局は解らない

「それを探すのが人生というものだ」

そう言う人もいる

きっと、そういう事なんだろうと自分を納得させてみる

でも、マラソンランナーなら躊躇無くこう言うだろう

「走るのが好きだから」

人生の本質って
案外こういう処にこそあるのかもしれない



もし、人生がマラソンのようなものだとして
そのゴールどころか
これから先どんな道を走る事になるのか
途中にどんな景色があるのかさえ解らないとしても
もしかしたら
いつか途中で倒れて棄権をする事になるかもしれないとしても
それでも人はきっと走り続けていく

「道があるから走るんじゃない。
 走った後に道は出来るんだ」

なんて、いつか読んだ誰かの言葉のように
したり顔で嘯いてみるのも悪くはない

本当の人生なんて
そんな格好の良いシーンばかりじゃないんだから
せめて心意気ぐらいはね










































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