当 社 比
夕食後の団欒の時間。
私は
ケラケラ笑いながらテレビを観ていた次女に訊いた。
「そう言えば、この前のテストはどうだったんだ?」
「どうだったと思う?」
質問に質問で返す次女。
こう言う場合は得てして結果に自信がある時だ。
「じゃ、訊くの止めようかな」
意地悪く私は言った。
「じゃ、言うの止〜めた!」
「良いよ、訊かないから」
「でも、本当は知りたいんでしょ?」
「本当は言いたいんだべ?」
「あんたら又、漫才ですか?
仲が良い事で」
長女が話に割って入って来た。
「お前ら、最近似て来たよな?」
長女が中学生だった時も
こんなやり取りがあったのを私は思い出していた。
「そんな事ない!」
声を揃えて二人が同時に言った。
「ほらね」
私は思わず苦笑をした。
「で、本当のところはどうだったんだ?」
「何が?」
「お父さんがテストの事以外で何か訊いたか?」
「だよねぇ〜 どうしよっかなぁ〜」
「ほらっ、本当は言いたいんだろ?
素直に吐いてしまえ。
故郷のお母さんが泣いているぞ。
カツ丼喰うか?」
「お父さん、それ前も言った。
しかも、お母さんは台所にいるし」
長女が呆れて言った。
「しゃーないな。じゃ、見せてやるよぉ」
まんざらでもないクセに渋々を装って
次女が鞄から五教科分の答案用紙を出してきた。
「どれ・・・ん? 何だこれ?」
「何?」
「お前、何でこんなところで間違うかな?
落ち着いて考えたら解るだろ?
しかも、何でひらがななんだ?
同じ間違えるんでもせめて漢字で書けよ」
「テヘペロ♪」
次女がおどけて舌を出した。
「お父さん。 指摘するとこ、それじゃない」
長女が又、呆れた風に言った。
「でもね、平均点は中間より上がったんだよ」
自慢気に次女が言った。
「どれ?
ん〜 確かに前回より10点づつ上がってるけど
クラスの平均点も5点くらい上がってるぞ。
まぁ、当社比10%性能アップってところかな」
「悪かったね! どうせ、元が悪いです!」
「いや、でも頑張ったじゃん。
この調子で頑張れば
今度は20%くらい性能アップが出来るぞ」
「そんなお父さんみたいに簡単じゃないよ」
「お父さんが? 簡単って・・・何が?」
「お父さんって最近又太ったよね?」
<ギクッ!?>
「な、何が?」
「太るのって簡単だよねぇ〜」
「そ、そ、そんな事・・・ないべ?」
「いやぁ〜 みんな思ってるよぉ〜」
「そ、そうか?」
私は長女に
『否定しろよ』光線を送りながら睨みを効かせた。
が、アッサリと長女は言ってのけた。
「ハゲドウ!(激しく同意の意味)」
「でしょ、でしょ?」
我が意を得たりの次女が続けてトドメを刺してきた。
「言ってみれば、お父さんは
当社比20%増量ってところだよね」
「お前、上手い事を言うね♪」
「イエーイ♪」
次女が長女にハイタッチをした。
某家の夕食後の団欒の場に
娘らの勝ち誇った笑い声が
コダマのようにいつまでも響いていた。
娘らのMAXハイテンション
当社比50%向上中。
・・・・・orz ←当社比テンション100%オフ