船乗りの唄







海と空の交わる所
その向こうに何があるかなんて
誰かに聞けば済む話だとしても
男は自分の目で見ないと気が済まないんだね

帰る港があるから
安心して船を出せるんだなんて
そんな心にも無い言葉を並べて
男は宛ての無い大海原に船を出して行く


男は自分勝手だね
男はいつも子供みたいだね

愛よりも 家族よりも 平穏な日々よりも
どうしようもない夢の方が大事なんだね

例え 夢が破れて
もしも何処かでのたれ死んでも
男はきっと天国には行かないんだろうね



船乗りの女房になんか
お前は決してなるんじゃないと
死んだ母親が言っていたけれど
女は気が付いたら船乗りの女房になっていた

母親がそうだったように
女は子供を背負って網を繕いながら
今日も港が見える西の窓を開けて
女は男がいつか帰って来るのを待っていた


男はワガママだよね
男はいつもバカみたいだね

愛よりも 家族よりも 平穏な日々よりも
役に立たないロマンとやらが大事なんだね

例え 夢の途中で
もしも何処かでのたれ死んでも
男はきっと笑って往くんだろうね



男は船乗りだから
陸の上では生きていけない

愛よりも 家族よりも 平穏な日々よりも
嵐の海を選んで船を出して行くんだね

例え 夢と一緒に
もしも何処かでのたれ死んでも
男はきっと後悔なんてしないんだろうね


















































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