掛け違えたボタンの真理
掛け違えたボタンに気付かずに
そのままでいられたら幸せだったかも知れない
だけど妙な心地悪さに気付いてしまったら
いつまでもそのままではいられない
途中で掛け違えたボタンは
気が付いた時点で掛け直す事は出来るけど
最初から掛け違えていたボタンは
結局は一度全部を外すしかない
掛け違えたボタンを掛け直そうとしたら
解れていた糸が切れてボタンは何処かに落ちた
探しても探しても見つからないのなら
いっそ、全部付け換えてしまえば良い
ボタンに罪は無い
ボタンも罪は感じていないだろう
掛け違えたのは人間なんだから
でも人間は掛け違えた事をボタンの罪にする
掛け違えたボタンに気付かない振りをして
何も無かったような顔をして毎日を暮らす
優しさなんかじゃない ただ、逃げているだけだけど
そしたらいつか掛け違えたボタンも普通の事になる
掛け違えたボタンが普通になる頃にはきっと
作り笑いも上手くなれるよ 多分ね
そんな選択がある事をボタンは教えてくれた
付け換えられずに済む術をボタンは知っていた