加 速 度
第一印象は別にどうって事は無かったよ
確かに
明るくて可愛い子だとは思ったけど
いつも何処にいても
友達の輪の中心で笑顔を振りまいている君
何人かの目立ちたがり屋の男子達は
君の気を引こうとしてたけど
それも
ボクには関係の無い世界の話だと思っていたよ
ある日の帰り道
独りで
公園のブランコで俯いている君を見かけた
自転車を止めて
ボクは惹かれるように
その姿をちょっと離れた遊歩道から見ていた
君に気付いて欲しい気持ちと
君に気付かれてはいけないと言う思いが交差して
それでも
ボクは君から目が離せなかった
多分
君は誰にも見られたくはなかっただろう
ひと筋の涙の痕
笑顔じゃない
もうひとつの君の顔
その瞬間
ボクの中で何かのスイッチが入った