ミ ル ク テ ィ ー








また髪を切ったんだね
今度はどんな男だったの?

いや、何も言わなくても良いけど
とりあえず温まっていきなよ

火にかけたポットがカタカタ音を立ててる
カウンター越しに
キミの瞳が潤んで見えたのは
ポットの口から上る湯気のせい?

いつものミルクティー
ミルクは多めで良いかい?



お喋りなキミが今夜は
ずっと聴き役でいるつもり?

いつもは無口なボクがお喋りになる
舌をかまないように神様にお願いしたよ

会心のジョークの10連発もキミの前では
見事に撃沈したけど
11回目のジョークが滑った時
キミはやっと大きな声で笑ったね

キミの笑顔が冷めないように
少し熱めのミルクティーを入れてあげよう



木枯らし一号が吹いたって
さっき天気予報で言ってたけど

そう言えば今夜は冷えるね
こんな日に髪を切ってくるなんて

ストーブを点けて暖かくなるなら良いけど
それもボクじゃ無理かな?
ティーカップを両手で包むように
持ちながらそっとカップに口をつけたキミ

「私、猫舌なんだよ」って
笑いながらそれでも飲んでくれたね



そんな事は分かっていたよ
長い付き合いだもの

でも少しだけ変わって欲しかったんだ
悲しい顔はもう見たくないから

キミの笑顔だけ見ていたいから

































inserted by FC2 system