想いが届く場所に君がいるなら







夜が長過ぎて
眠れないままに時を過ごしていた

想い出すのは
出会った頃の君の無邪気な笑顔


君はあいつの恋人で
いつも一緒につるんで遊んでいたね

心から願っていたんだ
あいつと君の幸せ それは本当さ



あいつを見つめる
優しい君の眼差しを見ていると

応援したいと思った
君の笑顔が僕の幸せだったから


あいつの誕生日のプレゼント
買いに行くのにも付き合ったよね

「ねぇ、どれが良いと思う?」
嬉しそうに選ぶ 君を見てた



三年が過ぎて
あいつと君は仲間に祝福されて結婚をした

誰もが羨む似合いの夫婦だとみんな思ってたよ

幸せは永遠に続くはずだった





初めての子供が
産まれる半年前の秋の頃だった

あいつの浮気
君は泣きながらそれでも好きだと言った


だけど掛け違えたボタンは
一度外さなきゃならない事を君は知ってた

君は産まれてくる
子供の為に生きると決めた



それから君は
実家に戻り女の子を産んだ

僕はあいつの友達
君の事 遠くで心配するしか出来なかった


両親と子供とのささやかな暮らし
それなりに幸せそうだと

君の親友が教えてくれた
まさかそんな君に・・・



運命は時に
何て残酷な仕打ちをしてしまうんだろう?

ただ、ささやかな幸せを願っていただけの君に

治るはずの無い病の宣告





月日は流れて
あれから五度目の春がもうすぐ来る

君の愛した
娘さんもこの春 小学生になると聞いたよ


あの頃あいつを見てたと同じ
優しい眼差しで君は娘さんを見てるだろうね

あの頃僕が見てた
素敵な笑顔できっと見てるよね? 何処かで



ホントはホントは
ホントはね あいつより先に

君の事を
好きになったのは僕の方だったんだ


想いの届く場所に君がいるなら
せめて今夜 夢の中ででも伝えたいよ

もしも君がそこにいるなら
遅過ぎたこの想いだけど



運命はいつも
意地悪な罠をしかけてはほくそ笑んでいる

眠れない夜に想い出すのは君の事

想いが届く場所に君がいるなら


もしも想いが届く場所に君がいるなら












































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