桜色の雨








春色の空を遮るのは
君がついた溜め息なのか?

それとも君の流した涙だろうか?



幸せそうな笑い声
賑やかな街のざわめき

かき消すように春の雨が降る



君がいればそれで良かった

ありふれた言葉で言えば
僕は君をずっと愛していた



君と過ごす平凡な毎日も
僕にとってはかけがえのない毎日で

一緒に泣いたり笑ったり
そんな事さえも
愛おしい日々だったと思う



もう取り戻せない日々



行き先も見ずに買った二人分の切符
ポケットに入れたままにしておいたから

いつの間にか皺くちゃになっていて

気が付いたら
行き先も読めなくなっていた



二人

何処に行こうとしていたんだろう?



遠いあの夏
あの街の片隅で二人は出会った

そこは春がくると
桜の名所になると知ったのはずっと後の事



そして
一度だけ君と迎えた桜の季節


ただ、キレイだと
ただ、永遠を願い
桜の舞う道を二人並んで歩いた


どんなに季節が変わっても
変わらないものもあると

信じていたよね



降り出した雨を避けようと
駆け込んだ樹の下は見覚えのある風景を映した

懐かしく思うのは
それが永遠じゃない証拠なのかも知れないと
苦笑いしながら呟いた


そして今

又、桜の季節











































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