背 伸 び
小さい頃は
もっと前が見たくて背伸びをしていた
10代の頃は
早く大人になりたくて背伸びをしていた
恋をするようになって
見栄と言う名の背伸びをしていた
社会人になってからは
周りに負けたくなくて背伸びをしていた
子供が出来てからは
良い親になろうとして背伸びをしていた
もっと大人になってからは
自分を繕うように背伸びをしていた
五十歳を過ぎて
背伸びを止めたら地に足が付いた
もう背伸びはしない
諦めたからじゃない
かと言って
今の自分に満足しているからでもない
もちろん
目標が無くなったからでもない
向上心を失くした訳でもない
まだまだ未熟な自分
でも
それで良いんだと思えるようになったから