ただそれだけの片想い







今更何が欲しいって思うほど
もう若くは無い

木立を抜ける風のように
何にもぶつからずに生きていけたら
それで良いと思っていた


時計の針が気になっているのは
残りの時間を気にしていただけ

振り返る事が増えたのは
明日に期待するほど若くは無いって事
そんなもんだと思ってた


君に出逢うまでの僕は
飲みほした後のコーヒーカップのように
冷めていく気持ちを
当たり前のように受け止めるしかなかった

君に出逢うまでは


或る日
雨上がりの空に虹を見つけた

手を伸ばせば届きそうな白い雲と
暖かな陽射しの中で
僕は立ち止まってそれを見ていた

気に留めなければ
いつものように通り過ぎる
それだけの風景だったに違いない

だけど、立ち止まった瞬間
僕の心に何かが沁みていったんだ


もう少しだけ、後少し
自分らしく生きてみたくなったよ

君に出逢ってからは、そう


だけど良いんだ
だから良いんだ


何を望む訳でもなくて
君の笑顔がただ嬉しくて
見つめていたいだけの
ただそれだけの片想い


































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