嘘 月
「もう忘れても良いかな?」
僕は夜の空を見上げて呟いた
「良いさ、忘れてしまえよ」
朧な月が頷いてみせた
それは誰の本心なのかな?
君は嘘月だね そう、それは僕
ひとつひとつ想い出を並べて
神経衰弱のゲームのように
順にカードをめくっていく
合わない事は解っているのに
それはまるですれ違った二人
信じていたんだ そう、あの頃は
「今夜のキミはやけに優しいね」
僕は夜の空を見上げて呟いた
「もうすぐ春だからね」
朧な月は嘘が下手だ
でも、そんな嘘も悪くないよ
秋の風も今夜は同じくらい優しい