5 0 男 の 自 慢 話





男が何人か集まって酒を飲んで語り合う時


若い頃なら
する話と言えば

やっぱり
女性の話だったり
乗っている車の話だったり
案外、無邪気な話が多かったかな

フラれた話だって
自慢話みたいに話していたものです

時々
「人生とは何ぞや?」
みたいな話をする事もあったけど
所詮は
「知らん者」と「分からん者」の話なもんだから
いつも結論なんか出たためしは無かったな

それでも
時々
何か無性に熱くなって語り合ったものです


30代も半ばを過ぎた頃

話題の中心は
仕事の事だったり
子供の事だったり
奥さんへの愚痴だったり

自分の話よりは
自分の周りに関する話の方が多くなっていきました

相変わらず
「人生とは?」
みたいな話も出たけど

でも
自分の人生がある程度見えてきてもいたもんだから
けっこう
現実的な話に虚しくなったりして

若い頃のような理想論にはなりませんでした


そして、50代

50男が何人か集まってする話と言えば
昔の話と自分の自慢話です

自慢話と言っても
まぁ・・・
何の自慢話なんだか分かりはしませんが(笑)


「お前、しばらく見ない間に髪が真っ白じゃん」

「あぁ、苦労してるからな(笑)」

「何処がだよ(笑)
 その割にゃ、顔は良い色してんじゃん?」

「そう言うお前はどうなんだ?」

「俺か? 実は肝臓が悪くてさ。
 今、医者に酒を止められてるんだ」

「あ〜 それでお前
 今日はウーロン茶ばかりガブ飲みしてるのか?」

「あぁ、ウーロン茶と薬で腹が膨れるわ(笑)」

別な友人が言った

「いやぁ〜 俺なんか
 この前、メタボ健診で引っ掛かってさ。
 でも、アレおかしくない?
 何で、腹囲が一律85cmなんだ?
 身長160cmも180cmも同じっておかしいよな?」

「そうそう! 俺もそう思うわ」

「ホント、俺もそう思う」

「だよな」

「そうだよ」

久しぶりに同志を得たかのように
みんなが次々に賛同をした

でもみんな
心の中では異論を唱えつつも
実はけっこう気にしていたりして
そんな年頃です(笑)

「でも、けっこう若い年代でもポックリってあるらしいぜ」

「そういや、この前
 町内会で葬式があってさ。
 それが、俺らと同じ50代でね。
 会社から戻って普通に晩飯を食っていて
 終わってからソファに横になったと思ったら
 突然大きないびきをかき出して
 それで救急車で運ばれたんだけど
 もう遅かったらしい」

「あぁ、脳溢血とか脳梗塞とか
 やっぱ、心配だよな」

「だよなぁ〜
 やっぱ、まめに健診は受けといた方が良いよな」

「そうそう」

「実は俺も、コレステロール値と血糖値が
 高いって言われてるんだよな。
 それで、半年前からウオーキングを始めてね
 毎晩、1時間近所を歩いてるんだけどさ。
 知らない人が見たら変質者だよな」

「黒い服を着て
 キョロキョロ歩いてんじゃないの?(笑)」

「そんなんじゃないけどさ」

「じゃ、朝に歩けば良いじゃん」

「そんな早くに起きれたら苦労はしないよ」

「確かにな。
 俺も夜更かしは平気なんだけど朝は弱いわ。
 でも、これって若い証拠だよね?」

「どうだかね(笑)
 でも、夜更かしして次の日に堪えない?」

「そりゃまぁね。
 若い頃見たいに徹夜はもう無理だけどさ。
 でも、何か早く寝るのがもったいなくってさ」

「俺はもう12時過ぎたら無理。
 起きてられないわ。
 朝はいくら早くても平気なんだけどね」

「お前、そりゃ歳取った証拠だって(笑)」

「そういや、お前。
 タバコを止めたんだって?」

「あぁ、もう3年になるよ」

「何でまた?」

「胃潰瘍で入院しちゃってさ。
 それで、医者に止められたし。
 良い機会かなって思ってね」

「そっか、偉いなぁ〜
 ちゃんと身体の事を考えてるんだ?」

「今はタバコ吸ってても肩身が狭いよな」

「そうそう、外で据える場所も
 段々無くなってるしさ」

「そうなんだけどさぁ〜
 俺はなかなか止められないんだよね。
 いや、止めようと思った事も無いんだけどね」

「俺もだ。
 何か余計にストレスが溜まりそうじゃない?
 それでなくっても
 会社や家でストレスが溜まってるのに(苦笑)」

「相変わらず、奥さんがキツイのかい?」

「放っとけ(笑)」

「でも、だよなぁ〜
 けっこう、俺らって辛い年代かもな。
 昔の無理が身体に出てくる頃だわな」

「そうそう!
 だいたいだな。
 何十年も営業マンをやっていて
 『私は健康です』なんて言う奴は
 仕事をしてない奴に決まってる!」

「あはは、それはちょっと乱暴だけどな(笑)」

「でも、絶対そうだって。
 何十ん年も無理して頑張れば身体にだって
 いつかガタはくるさ」

「そうだな。
 だから、自分の健康は自分で守らないとさ」

「そうだね」

「ところで
 お前はさっきから黙ってるけど
 身体の調子はどうなのよ?
 お前は昔から全然変わってないよな?
 何か秘訣でもあるのかい?」


中の1人が
昔から体形も髪形も変わらない友人に訊ねた

すると
その友人が答えた

「お前らが羨ましいよ。
 コレステロールだとか胃潰瘍って言ったって
 外から見たら分からないんだから、まだマシさ。
 俺なんかこうだぜ」


そう言うと友人は
帽子を脱ぐかのように
ふさふさの髪の毛を脱いで見せた





























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