営業マンY氏の過酷な夏







世の中は節電が声高に叫ばれる夏です

節電をせぬ者は非国民か?
ってくらいテレビを観ても新聞を読んでも
やれ
「エアコンの設定温度は28℃以上にしましょう」だとか
「無駄な電気はこまめに消しましょう」だとか

それは確かに正しいのでしょう

今までが
あまりに無頓着過ぎたのです

でも
そうは言っても暑いものは暑い!

それも事実なんですよね



「猛暑日の続く本州からみたら
 北海道の暑さなんてたかが知れている」

そう、本州の人は思ってるでしょうね?

でも
北海道の暑さしか知らない北海道人にしたら
たかだかの30℃でも暑いのです

なんせ身体が北海道仕様なんですからね



節電が声高に言われる世の中に習うように
我が社のエアコンの設定温度も28℃です

その為
会社通達でも社員の服装規定が変わり

社内においては

・襟付きシャツであればOK
・ポロシャツ(但し、単色・華美でないもの)はOK
・Tシャツ・タンクトップは不可
・女性社員のミニスカート
 及び素足は禁止(←これの意味が分からない(笑))
・ノーネクタイもOK
 但し、お客様と接する場合はジャケットを着用

と、なっています


「なら、いくらか快適だね」

そう思います?


確かに、社内規定ではそうなっているのですが
我が支社の支社長はこの事については
一切口に出していません

その支社長が
例えどんな暑い日でも
スーツを着てネクタイをしているのですから
社員がネクタイを外す訳にはいきません

しかも
対外的にクールビズを宣言していないので
お客さんの手前もあり
きちんとした服装でいなければならないのです



確かに
本州に比べたら夏の暑さもたかが知れていますし
本当に暑くて
ガマンが出来ない日なんか数えるくらいのものです

でも
そんな”数えるくらい”の暑い日は必ずあります


今日もそんな日でした


車に乗っている時は
ここぞとばかりにエアコンをガンガンかけるので
まだ良いのですが
辛いのは
エアコンの効いていないお客さんの会社に訪問をした時

お客さんは当然のように
スーツの上着を脱ぎ半袖のYシャツ
それでも団扇を片手に「暑い」と言っている所に
営業マンはスーツを着てお邪魔するのです


中には気さくなお客さんもいて

「見てるだけで暑苦しいから上着脱げよ」

と、言ってくれるのですが
堅いお客さんの所ではそうはいきません

話しているだけで汗が滲んできます

いや、黙っていても汗は出るのですが
黙っていては商売にならないのが営業


『今日は早めに切り上げて車に戻ろう』

心の中で”本日の話の主題”を復唱しつつ

『目標10分以内!』

と、心に決めていざお客さんの会社へ・・・



客 「いやぁ〜暑いね〜」
私 「そうですね〜 ところで・・・・」

即効、さっきまで十分に復唱をしていた本題に入る


9分21秒経過・・・


私「それではそう言うことで・・・」
客「そうだね、そうしようか」

私『よし、帰るぞ!(ガッツポーズ!)』

客「ところでさ〜」
私「はい?」
客「おたくの会社の・・・」

『はぁ〜? 何だって?』


17分38秒経過・・・
スーツの下は汗で濡れ始めている


客「それでね、あれはどうのこうの・・・」
私「そうですね、それは・・・」
客「それじゃさ・・・」
私「はい、分かりました」
客「だけどね・・・」

『だから何だっての? 早く終わろうよ〜(泣)』


35分41秒経過・・・
スーツの下は汗だく


救いの神「○○さん、電話です」

客   「おっと、電話だわ。それじゃそう言う事で」
私   「はい、分かりました」


『はぁ〜 やっと解放されたぞ』


結局、解放されるまでの時間は43分54秒・・・

スーツはもう・・・


『このスーツがサウナスーツなら3kgは痩せてるべな』



外に出ると即効ずぶ濡れになった上着を脱いで
車に乗り込みエアコンを最大に起動!

『ぷはぁ〜 生き返ったわ!』



そんな時
ふと、思い出すのです

イソップ寓話の「北風と太陽」の話

そうです
北風と太陽が力比べをするのに
どっちが旅人の上着を脱がせられるか勝負をして
太陽が勝ったと言う、あの話です

なるほど
確かにこりゃ太陽が勝つわなぁ〜

と、身をもって実感


でもどうせなら
この濡れたスーツも乾かしてくれたら良いのにな

そう思いながら車をスタートさせます


『さてと、次はと・・・』

げっ!

次の訪問先は
いつも寒いくらいエアコンを効かせてるアノ会社か?


下着までずぶ濡れの私を
今度は冷たい北風が攻め立てるのでしょうか?

汗でぬれた下着やシャツが
冷えて肌に吸いつく程気持ちの悪いものはありません

『ヴ〜 ブルブル)))』

考えただけで悪寒が走ります


『嫌だなぁ〜 行きたくな〜〜〜い!』

そう思いながらも
一路、車の進路はアノ会社へ

『真面目すぎる自分が悲しい・・・』


ボヤきながらも
私の過酷な夏はまだまだ続いて行くのです


































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